西洋美術史を理解して、アートの歩みを知ろう!【ルネサンス編】

こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長@3Lmuseum)です。

美術の世界には、様々なジャンルがあふれています。

例えば『印象派』や『マニエリスム』、『キュビズム』や『バロック』などがありますが、覚えるのも一苦労ですよね。

しかし、これらの流派や時代の流れを覚えることで、より作品の情報や背景を知ることができ、鑑賞においてのインプットを深めることができます。加えて、新たな視点を広げることができるメリットもあるのです。

館長

まさに付加価値ですね!

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今回は、そんな美術の流派や歩みをワークショップの1つとして紹介していきます。

ただし、専門知識を一度に流し込んでしまうと疲れてしまうほか、難しく感じてしまうと思います。そのため、この記事では大まかに要点を押さえて、美術の流れを理解するお手伝いをしていきます。

また、美術史の流れに関して、最初から順に解説していくのもいいのですが、比較的馴染み深く、覚えやすい流派から知っていくのがやはりベストであると思っています。

なので今回は、『ルネサンス美術』からいくつかピックアップして紹介していきます。

館長

展覧会に訪れた際に前情報があるとないとで、鑑賞の質も変わるため、ぜひ役立ててみてください!

アートの全貌をざっくりと把握して、鑑賞をより充実させてみませんか?

目次

ルネサンスって?

ルネサンス美術は、15世紀イタリアを中心におこりました。

日本でいうと室町時代、足利将軍家が活躍していた時代です。

館長

金閣寺を建立していた頃ですね!

そもそも、ルネサンスとはどのような意味なのかというと『再生』を意味します。

キリスト教中心の文化の中において、それよりも昔の人間が尊重されていた「忘れられていた自然や現実世界の美しさを思い出そう! 大切にしよう!」という流れのもと、誕生しました。

つまり、死後の天国を夢みるのではなく、現実を優先しようという考え方です。

そのため、人間性の回復、そして神話を題材とした作品が復活しました。

また、この頃の絵画は、動きのある表現奥行きができたことが特徴です。

館長

いわゆる『遠近法』が生まれたのはこの頃なのです。

そのほかにも、様々な図法が完成されたことに加えて、科学への関心も生まれました。

これらのことから、ルネサンスは古典と科学から成り立つといっても過言ではないのです。

そんなルネサンスですが、一般的には以下の4つに分類することができます。

初期ルネサンス
盛期ルネサンス
北方ルネサンス
マニエリスム(後期ルネサンス)

ここからは、代表的な作品や作家を中心に、各分類を解説していきます。

初期ルネサンス

初期のルネサンスは、イタリアのフィレンツェにておこりました。

フィレンツェは当時、自由で裕福な都市でした。

そんな活気溢れる街で、絵画のみならず、彫刻や建築といった芸術が誕生しました。

ルネサンスの説明の通り、「人間性の尊重」「奥行きのある絵画」「技術や学問への関心」が大きな特徴です。

ここでは、以下の代表的な作家が活躍しました。いくつか作品を紹介させていただきます。

フラ・アンジェリコ

『受胎告知』(所蔵:プラド美術館)

サンドロ・ボッティチェリ

ヴィーナスの誕生』(所蔵:ウフィツィ美術館)

盛期ルネサンス

盛期ルネサンスになると、中心部がフィレンツェからローマ・ヴェネツィアに移ります。

そしてこの頃に、かの有名な『モナ・リザ』が誕生しました。

『モナ・リザ』(所蔵:ルーブル美術館)
館長

つまり、レオナルド・ダ・ヴィンチの活躍した時代です。

レオナルドのほかにも、ミケランジェロラファエロといったレジェンド級の芸術家が現れた時期でもあり、この三人を三大巨匠と呼びます。

レオナルドは、遠近図法や三角構図、スフマート(ぼかしの技法)といった新たな構図・技法を数多く生み出しました。

ミケランジェロは、肉体表現や表情、身振りで人間の感情をリアルに表現しました。

ラファエロは、レオナルドとミケランジェロの知識を吸収し、それを統合しました。

館長

三大巨匠と言われるだけあって、後世の美術史に影響を及ぼしていますね

そんな彼らの作品を一部、紹介します。

レオナルド・ダ・ヴィンチ

『岩窟の聖母』(所蔵:ルーブル美術館)

ミケランジェロ・ブオナローティ

『最後の審判』(バチカン宮殿 システィーナ礼拝堂)

ラファエロ・サンティ

『アテナイの学堂』(ヴァチカン宮殿 ラファエロの間)

北方ルネサンス

北方ルネサンスとは、ドイツやベルギー、オランダ(当時はネーデルランドと呼ばれていました)で栄えたルネサンス文化のことを指します。

ここでの最も大きなポイントは、『油彩画』が誕生したことです。

油彩画の誕生によって、精密な描写をすることが可能になり、風景などの正確さが際立つ絵画が誕生したのです。

館長

その作品たちを見ていきましょう!

ピーテル・ブリューゲル(父)

『雪中の狩人』(所蔵:美術史美術館)

ファン・エイク兄弟

アルノルフィーニ夫妻像』(所蔵:ナショナルギャラリー)

アルブレヒト・デューラー

『自画像』(所蔵:アルテ・ピナコテーク)

マニエリスム(後期ルネサンス)

この頃のイタリアは、社会的にも宗教的にも不安定な情勢でした。

その影響からか、不安感漂う作品が増えていきます。

その様は奇抜で非現実的なデザインとなっていました。

加えて、冷たく鮮やかな色調もあり、より特徴的で奇想的な芸術が誕生しました。

館長

そんなちょっと不気味な作品を1つ紹介します。

ジュゼッペ・アルチンボルド

『夏』(所蔵:ルーブル美術館)
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まとめ

いかがだったでしょうか。

ルネサンスの特徴をまとめると、以下の通りになります。

・ルネサンス=「再生」
・奥行きと動きのある表現が特徴
・古典と科学で成り立っている
・4つに分類することができる

ルネサンスは、世界でもっとも有名な絵画の1つである『モナ・リザ』が誕生した時代でした。

レオナルド・ダ・ヴィンチが描いたことは知っているけれど、いつ頃描かれたのかを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。

館長

日本で室町幕府が政策をおこなっていた頃、世界では三大巨匠が活躍していたとなると、なんだかロマンを感じますね!

このように、その時代の美術の知識を知ることで、物事を前後的に、立体的に捉えることができるようになります。

全て知るとなると膨大な情報量ですので、少しずつ知識をつけていきましょう!

今回解説したルネサンスは、一言でまとめると「巨匠が誕生し技法を発展させた、人間重視の再生の時代」といったところでしょうか。

また、初期・盛期・北方・後期に分類されることも片隅に入れておきましょう。

これにてルネサンスの解説は一旦終了です。

館長

焦らずに自分のペースで、一緒に理解を深めていきましょう!

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この記事を書いた人

1996年生まれ。大学卒業後、美術館でナビゲーターとして教育普及に従事。教養としての芸術を広め、芸術に対する価値観やイメージをアップデートしたいという想いから、2021年3月に「3L museum」を開設。牛乳キャップやチロルチョコの包み紙など、芸術的価値があると感じるモノの蒐集が趣味。




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