【実践編】4つのステップで実際にアートを鑑賞してみよう【後半】

こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長@3Lmuseum)です。

この記事は後編なので、前編の記事から読んでいただけると、より一層内容が理解できると思います。

あわせて読みたい
【実践編】4つのステップで実際にアートを鑑賞してみよう【前半】
【実践編】4つのステップで実際にアートを鑑賞してみよう【前半】こんにちは!教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長(@3Lmuseum)です。この記事では、前回紹介した「アートに触れるための4つのステップ」...
目次

前回のおさらい

これまで全く馴染みのなかったアートに触れ、教養を深めるために館長の元で『鑑賞のための4つのステップ』を実践することにしました。

◎アートと向き合う4つのステップ
1.感じる
2.見る
3.知る
4.残す/共有する

館長からワークショップで提示された4つの作品の中から選んだのは③の絵画。

この絵画を見た時、「公園が舞台、貴族たちが寝そべっていたり傘をさしてくつろいだりしている絵、なんだけどなぜか暗い印象」というイメージを感じ、まったりしていて、リラックスしているこの絵が好きだということを自覚しました。

今回は、次の工程である「知る」ことから始まります。

選んだアートの情報を知ろう

館長
そしたら、次は「知る」工程に移っていきます!
この絵の歴史的な背景や技術について、できるだけ噛み砕いて簡単に説明するから、さっき分析した自分のイメージとすり合わせてみよう!
よろしくお願いします!

館長
じゃあ早速、この絵の基本的な情報を話していくね。
先ほど選んだこの絵は、ジョルジュ・スーラが1886年頃に描いた『グランドジャット島の日曜日の午後』という作品なんだ。
はじめて聞きました……。
館長
あまり馴染みのない作品かもしれないね。
館長
この絵の舞台はパリの川沿い。タイトル通り、休日をグランドジャット島で過ごす人々を描いた作品なんだ。
当時のグランドジャット島はリゾート地みたいな感じの場所で、リラックスした雰囲気に包まれているね。
公園じゃないんですね!
館長
公園って考えも全然間違っていないと思うよ! むしろ屋外でリラックスする場として公園は、ほぼ真っ先に出てくるイメージだと思うから、とてもいい着眼点だったと思います。
館長
あとは、当時の島での過ごし方がわかるね。
この頃から日傘をさす人がいたことや、レジャーシートは敷かない文化だったとか。ワークショップで書き出してもらった点から、当時の人の過ごし方も知ることができるんだ。
なるほど……。貴族は当時こうやって過ごしていたんですね。
館長
実はね、ここに描かれている人たちはみんな貴族じゃないんだ。
!?
館長
これが当時の市民のファッションなんだ。いわゆるトレンドってやつだね。
身なりから貴族だと思ってました……。
絵をよく観察することによって、その当時の人の暮らしなんかも知ることができるんですね!
館長
そう! 芸術はある種の歴史的資料にもなり得るんだ。
なるほど!
館長
そして、先ほど言っていた、公園の明るいイメージに反して「なんか暗い」って着眼点。ここがまさにこの作品を特徴づける大きなポイントなんだ。
実はこの絵、よく見てみると一つひとつの色の点で構成されているんだ。
本当だ! なんかドット絵とかモザイクタイルを想像しました。
館長
これを『点描技法』って言うんだ。今言ってくれたようなドット絵やカラープリントなんかを、全て手で描いているイメージだよ。

そんな点描技法を研究したスーラの最高傑作が、まさにこの『グランドジャット島の日曜日の午後』という作品なんだ。

そんなにすごい作品だったなんて! でも暗い雰囲気とはどんな関係が?
館長
点が重なって見えてなんだかぼんやりとした、幻想的な作品になるのが点描技法の特徴なんだ。
また、点描技法と相まって、絵の具の経年劣化でも色褪せてきてしまっていることもあるから、より一層暗めに見えてしまうのかもしれないね。
なるほど! だから暗めに見えたんですね。
館長
暗いっていう着眼点があったからこそ、点描技法のイメージを掴むことができたと思うんだ。
点描技法は奥が深くてとっても面白い技法なんだけれど、とりあえず最初のうちは、ぼんやりとした幻想的な絵ってイメージをつけることができたら大丈夫! 慣れてきたら一発で点描技法の絵画だ!ってわかるようになるよ。
わかりました!
館長
ちなみに、こうした作品に関する情報のことを『付加価値』と言ったりするよ。この付加価値を知ることで、より一層アートに対する理解が深まるんだ!
あわせて読みたい
アートが持つ付加価値ってなに? 知ることのメリット・デメリットは?
アートが持つ付加価値ってなに? 知ることのメリット・デメリットは?こんにちは!教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長(@3Lmuseum)です。アートには、その作品自体の価値以外にも、様々な『付加価値』を持...

③の絵画に対するまとめ

「見る」
・公園
・傘
・寝そべっている
・貴族
・暗い
「知る」
・スーラ作『グランドジャット島の日曜日の午後』
・公園という認識はだいたい合っている。(リゾート地)
・寝そべる人や傘をさす人などの情報から、当時の人々の暮らしを知ることができる
・貴族ではなくフランスの市民
・『点描技法』が使われている幻想的な絵画

アートをアウトプットして、残したり共有したりしよう

館長
そしたら最後は、今回のワークショップで培ってきた内容をアウトプットしていこう!
アートについての感想でも新しく知った知識でも、どんな情報でもいいから人と共有してみよう。
残す/共有する」の工程ですね!
館長
その通り!
館長
この絵に限らず、今日のワークショップの感想でも大丈夫だよ! とにかく経験したことを共有することが大切です。
じゃあ、ワークショップ全体を通しての感想で。
まず、ワークショップを芸術を知らない身として参加して、アートの見方がすごい変わりました! なんだか見方が変わることで、物事に対していろんな着眼点を持てるようになれそうです。
そのため、今日学んだことは、仕事や生活などにも応用できるかもしれないと思いました。
このような広い視野で物事を観察できる着眼点を身につけていくことによって、多角的にアイデアを提案していける気がします。
また、今回は「見る」ステップの書き出す際に、うまく情報を言語化することができませんでした。なので、これからもワークショップを繰り返しおこなって、観察力を養っていきたいです。
館長
ありがとう! アートを鑑賞することで、何か得るものがあったら僕も嬉しいです。
アートを鑑賞することで、物事に対する視野を広げることができたんだね。それが鑑賞の醍醐味だと僕も思います。
館長
これからも、アートにどんどん触れていくことで、ぜひ観察力を養っていってほしいです!
では、これで今回のワークショップは終了します。ありがとうございました!
ありがとうございました!

まとめ

今回は、アートに触れる4つのステップをワークショップ形式で紹介しました。アートに触れてみるイメージがより掴めたのではないでしょうか。

◎アートと向き合う4つのステップ
1.感じる
2.見る
3.知る
4.残す/共有する

実はこのワークショップと同じことを、筆者と芸術に触れた経験があまりない友人とで実践しています。そのときの会話内容を元に、この記事を作りました。館長が筆者、友人がワークショップ体験者で、問題も全く同じです。

実際にやってみたところ、友人もアートへの興味がより強くなった一方、筆者自身も着眼点の鋭さに驚き、「友人はこう考えるのか!」という、人それぞれのアートの見方にとても新鮮さを感じました!

みなさんも体験者になりきって、ぜひやってみてはいかがでしょうか。


もし、館長のような人が周りにいない場合は、次の本がおすすめです。

13歳からのアート思考』では、アートの見方についてわかりやすく紹介しています。今回の記事のようなワークショップ形式の内容もあるので、一人でも実践をしながらアートの見方を学ぶことができます。

この本でワークショップを実践して、それから自分が館長の立場になって友人や家族などに教える、なんてことができれば自分も相手も教養をつけることができるのでおすすめです。

余談ですが、筆者が実践したワークショップは、この本をだいぶ参考にしています。とても良書なので、アートに興味を持ちはじめた人には、ぜひ読んでもらいたいですね。

そのほかのワークショップについて

この記事では紹介できなかった①②④の解説の記事も作ったので、気になった人はぜひこちらもちぇっくしてみてください!

あわせて読みたい
【実践編】4つのステップで実際にアートを鑑賞してみよう!【番外編】
【実践編】4つのステップで実際にアートを鑑賞してみよう!【番外編】こんにちは!教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長(@3Lmuseum)です。以前、「4つのステップで実際にアートを鑑賞してみよう!」の実践編...

また、3L museumでは『観察力を鍛えるワークショップ』と題して、様々なワークショップを体験できるコンテンツを作成しています。

あわせて読みたい
3L museum『ワークショップ』
3L museum『ワークショップ』3L museumのワークショップでは、アートを楽しみながら新たな発見や気づきを与え、観察力が高まる体験を提供しています。従来のブログ記事は、読んでもらうことを目的に...

こちらでいろいろな作品と触れ合い、観察力を養って仕事やキャリアに活かしてくださいね。

3L museumのワークショップが、はじめてアートに触れる、あるいはアートへの触れ方がわからなかった人の役に立てていたら嬉しい限りです。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

1996年生まれ。大学卒業後、美術館でナビゲーターとして教育普及に従事。教養としての芸術を広め、芸術に対する価値観やイメージをアップデートしたいという想いから、2021年3月に「3L museum」を開設。牛乳キャップやチロルチョコの包み紙など、芸術的価値があると感じるモノの蒐集が趣味。




目次
閉じる