観察力を鍛えるワークショップ Vol.4

こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長@3Lmuseum)です。

観察力を鍛えるワークショップへようこそ!

3L museumでは、アートを楽しみながら新たな発見や気づきを与え、観察力が高まる体験を提供できるように、様々な作品を取り扱ってワークショップ記事を作成しています。

ワークショップを体験することで、主に「未知の自分の発見」と「観察力」の2つを鍛えることができます。
詳しくは下記の記事で解説しているので、ぜひ読んでみてください!

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今回の記事では、ある有名なフランス映画でも取り扱われた作品を題材にしています。

ぜひご覧になっていってください!

また、このワークショップでは次のものを必要とします。
ありあわせで大丈夫なので、読み進める前に手元に用意しておいてください!

・文字が書ける紙
・鉛筆・シャープペン・ボールペンなど

※今回のワークショップの所要時間は約5分です。

目次

作品を見てみよう!

それでは、今回のワークショップで使用する作品の紹介です!

まずは作品を観て、「気がついたこと」や「感じたこと」を紙に書き出してみましょう。
2分間で自由に書き出してみてください! 下のタイマーで計れます。

どうでしたか?

館長

館長はパッと見た感じ、素敵な日常のひと時が切り取られた作品に感じられました。
あなたはどう捉えたでしょうか?

あなたは気づいた?サクッとチェック

ここでちょっと難易度の高いチェックポイントを紹介します! あなたは気がつきましたか?




どこからそう感じた?

次は自分の感想の中から1つ選んで、「どこからそう思ったのか」を深掘りしてみましょう!

より鮮明に観察することができるようになります。
例えばこんな感じです!

全体的に暖かくて幸せそうな感じがする
→絵の中に描かれている人たちがみんな誰かのことを想っていそう。希望や前向きな気持ちが表現されているから?

左下の女性は犬に夢中で幸せそうだけど、なんか引っかかる感じがする
→テーブルの上に犬を乗せていることが気になる。みんなは変に思わない?

ぱっと頭に浮かぶことで大丈夫です。それでは気楽に1分間でやってみましょう!

この作品はどんな作品?

それではここで作品について紹介します。
これは「船遊びをする人々の昼食」という作品で、フランスの画家ピエール=オーギュスト・ルノワールによって制作されました。

ワークショップ Vol.1』の作品と同じアーティストですね!

この作品の舞台は、パリ郊外セーヌ河畔の行楽地にある、とある島のレストラン「フルネーズ」の川面を見下ろすテラスです。

描かれているのはルノワールの友人たち例えば、左手前で犬と戯れあっているのは、後にルノワールの妻となるアリーヌ・シャリゴです。

その背後で手すりに寄りかかっているのは店主の息子、画面右側手前で椅子に座っているのは画家のギュスターヴ・カイユボット。その奥で青いきらびやかな服を着ている女性は女優のエレン・アンドレ。といった風に、豪華な面々が揃っています。

また、ルノワールの特徴でもある光を捉えた画風は、この絵画が転換点だったとも言われています。

1882年に開催された第7回印象派展では、3人の批評家から最優秀作品の評価をされました。

館長

ちなみに、有名なフランス映画「アメリ」では、この作品の模写を延々と繰り返すおじいさんが登場します。このおじいさんと主人公のアメリのやりとりをみてみましょう。

20年描き続けていてもまだ描ききれない人物がいる、この水を飲む娘だ。絵の中心にいるのに、よそにいるみたいだ」
「彼女、人と違うのよ」
「どこが違うの?」
「さあ……」
「子どもの頃、おそらく一度も友達と遊んだことがなかったのかな」

『アメリ』(原題::Le Fabuleux Destin d’Amélie Poulain)より

もちろん、これは作品の詳細な事実に基づいた考察ではなく、彼らの主観が強く反映されています。
しかし、彼らは自分の眼を通して作品を観察することで、自分を発見しているのでしょう。

この作品をあなたはどう思う?

では最後に、この作品を観てあなたは今どう思いますか?

作品をよく観察し、背景を知ったあなただからこそ出てくる感想がきっとあるはずです。
自由に書き出してみましょう!

ここでほかの人の感想も紹介させていただきますね。

最初はなんとなく穏やかな雰囲気のいい絵だなと思うだけだったけど、描かれているのがルノワールの友人たちだと知ると、凄く愛しい感じがした。

特にこの作品を自分の作品の転換点となった重要な作品に位置付けているってことは、それだけルノワールが自分の友人を大切に思っていたことが伝わってきたような気がした。やっぱり人生で大切なものは友達なんだな……と思いました。

Tシャツ一枚の人がいたり、カーディガンまで着ている人がいたり、なんだか暑いのか涼しいのかよく季節が分からない作品だなと思った。

だけど、もしかするとあえて特定の季節を設定してないのかなとも感じた。そうすることで幻想的な雰囲気を描きそうとしたんじゃないかな。

まとめ

ワークショップの体験、お疲れ様でした!

今回はルノワールの代表的な作品を紹介させていただきました。
この作品には多くの人物が描かれており、きっと観る人によって全く違う感想が出てきたのではないでしょうか。

館長

よく観察することと知ることで、今までよりも多くのことを発見できるようになることが実感してもらえたら嬉しい限りです!

きっと日常で感じていた違和感に対しても気づいたり、深く考えたりする力が身についているはずです。

以上、今回のワークショップは終了です!
また、ほかのワークショップも用意してあるので、ぜひチャレンジしてみてください。

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この記事を書いた人

1996年生まれ。大学卒業後、美術館でナビゲーターとして教育普及に従事。教養としての芸術を広め、芸術に対する価値観やイメージをアップデートしたいという想いから、2021年3月に「3L museum」を開設。牛乳キャップやチロルチョコの包み紙など、芸術的価値があると感じるモノの蒐集が趣味。




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