こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長(@3Lmuseum)です。
観察力を鍛えるワークショップへようこそ!
今回のワークショップでは、とある1人のおじいさんを描いた作品を紹介します。この人物がどんな人なのかを意識しながら観察していきましょう!
所要時間は約5分です!
また、このワークショップでは次のものを必要とします。
ありあわせで大丈夫なので、読み進める前に手元に用意しておいてください!
・文字が書ける紙
・鉛筆・シャープペン・ボールペンなど
作品を見てみよう!
それでは作品の紹介です!
まずは2分間で「アウトプット鑑賞」をしてみましょう!
作品を見て気づいたこと、感じたことを自由に書き出してみてください!
あなたは気づいた?サクッとチェック
ここでちょっと難易度の高いチェックポイントを紹介します! あなたは気がつきましたか?
どこからそう感じた?
次は自分の感想の中から1つ選んで、「どこからそう思ったのか」を深掘りしてみましょう!
より鮮明に観察することができるようになります。
例えばこんな感じです!
「優しそうなおじいさん」
→「表情が柔らかくてとても優しい紳士をイメージしました。絵に囲まれていることから、この人も画家なのかな?」
「背景に浮世絵が!」
→「背景に日本の浮世絵が描かれている! でも中心のおじいさんは海外の人っぽいし……どこで生まれた作品なんだろう?」
ぱっと頭に浮かぶことで大丈夫です。それでは気楽に1分間でやってみましょう!
この作品はどんな作品?
深掘りお疲れ様でした。少し頭を使って疲れたと思います。
ここで、この日本出身なのか海外出身なのか悩ましい作品について紹介します。
これは「タンギー爺さん」という作品で、1887年頃にゴッホにより描かれたものです。
「ゴッホがなんで浮世絵!?」と思った人も多いかと思います。
実はこの頃、ヨーロッパでは万国博覧会に出品された日本の浮世絵が注目を集めていました。
二次元的でのっぺりとした浮世絵は、当時のヨーロッパの人々にとって斬新で衝撃的な作品だったのです。
この流行のことを「ジャポニズム」といいます。
ゴッホは日本のことがとても好きで、浮世絵を模写したり収集したりしていたと言われています。
ちなみに、ゴッホ以外にも当時活躍したマネといった画家たちも日本を愛していました。
歴史的な大作を残した画家たちを魅了した日本の文化、考えてみるとすごいことですよね。
次に、このタンギー爺さんについて。タンギー爺さんの正体は、パリで活躍した画材屋兼画商です。
資金的に困っている画家を支援していた画商で、彼の元にはお金のない若い画家たちが集いました。
ゴッホもその1人であり、描いた作品を展示・販売してもらい、様々なサポートをされていたそうです。
そんなタンギー爺さんをモデルに描いていたことから、ゴッホはタンギー爺さんをとても慕っていたことが伺えますね。
これらのことから、この作品はゴッホの好きなものを詰め込んだ作品、とも言えますね!
大好きな浮世絵、大好きなタンギー爺さんを詰め込んだこの作品を描くゴッホは、きっと幸せな気持ちになっていたかもしれません。
この作品をあなたはどう思う?
では最後に、この作品を観てあなたは今どう思いますか?
作品をよく観察し、背景を知ったあなただからこそ出てくる感想がきっとあるはずです。
自由に書き出してみましょう!
ここでほかの人の感想も紹介させていただきます。
「日本の文化が海外にここまで影響を与えていたなんて! ゴッホの作品もすごいけれど、むしろ日本の作品のすごさを再認識することができました」
「タンギー爺さんの柔らかい表情から、ゴッホがどれだけ彼を慕っていたのかを感じることができました。ゴッホって孤独なイメージだったけれど、そんなことはなかったんだ」
まとめ
ワークショップお疲れ様でした!
今回はみんなから慕われていたおじいさんを題材にした作品を紹介させていただきました。
特にこの作品からは、日本とヨーロッパの繋がりであったり、画家が資金面で苦しんでいたことなどの、当時の暮らしを知ることができたのではないでしょうか?
以上で、今回のワークショップは終了です!
この作品のように、好きなものを大切に思う気持ちを大事にしていきたいですね!