【アート入門】アート思考とは何かを解説! どうやって仕事に役立てるの?

こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長@3Lmuseum)です。

最近、『アート思考』って言葉をよく聞くようになりました。

館長

そうですね。これからの時代を生きていくうえで、必要になってくると言われています。

でも、正直よく分かりません……。実際にどうやって仕事や生活に役立てるのか、そもそも本当に必要なのか、気になる点がたくさんあります。

館長

なるほど。では、アート思考に関する疑問をわかりやすく解消していこうと思います!仕事だけでなく、人生そのもので役に立つ考え方なので、知っておいて損はないはずです!

よろしくお願いします!

目次

アート思考とは?

一般的にアート思考とは、「自分の興味に基づいて探求し、思考し、自分なりの答えをつくること」だとされています。

画家やミュージシャン、現代美術家といったアーティスト達が創作活動をおこなう思考の過程と同じであるため、このように呼ばれたそうです。

ビジネスにおいては、経営者や幹部のビジョンに基づいて、ほかの企業にはないユニークなアイデアやコンセプトの発想に力を発揮します。

その一方で、個人の人生においては、自分の純粋な興味やモチベーションに基づいて生き方を決めていく際に効果を発揮します。

どうしてアート思考の重要性が高まっているの?

それでは、「どうして今のタイミングで」アート思考の必要性が高まっているのでしょうか。

館長

ここからは、なぜアート思考の重要性が高まっているかについて、具体的に解説していきます!

アート思考が必要な理由は「令和の厳しさ」にある

みなさんの中にも『VUCA』という言葉を聞いたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか?

「VUCA」とは、「Volatility:変動性」「Uncertainty:不確実性」「Complexity:複雑性」「Ambiguity:曖昧性」の頭文字をとった言葉となります。

これはそのまま令和、及び将来の時代を表現する4つの単語の集まりです。わかりやすく一言で表すとすると「成功するための正解が消えた時代」となります。

館長

昨今、急速にアート思考が必要だと言われ始めている根本の理由はここにあります。

「IT・AI化」が仕事の難易度を上げ

令和がVUCAの時代になった最も大きな理由は「IT化・AIの進出」です。

IT化が進むことによって世界中の誰もが高いレベルの正解を出せるようになると、正解の価値がなくなってしまいます。
つまり、他者との競争が激しくなり、成果を出すのが難しくなるということです。

そして、AIが進出することによって「管理職をはじめとするルーティンワークのみの仕事の需要がなくなっていく」という背景があります。

したがって、枠にはまった成果しか生み出せないと、近い将来生活が苦しくなる可能性が上がってしまうということです。

ポイントは「人の感受性に訴えかける美を生み出す力」

厳しい令和の時代に、どうやって働いていけばいいのでしょうか?

館長

これに対する1つの答えが、「人の感受性に訴えかける美を生み出す力」を身につけるということになります。

言い方は異なっても、多くの学者や研究者が出している結論となります。その背景には、全世界的に自己実現的消費』の流れとなっていることが挙げられます。

これまた難しそうな言葉ですが、つまりは「自分の感情を満足させられるようなサービスや体験に消費者がお金を使う傾向」ということです。

これは、現代がかつてないほど豊かな時代となったことによって発生している現象です。

世界各国の企業、大学、組織を対象に講義をするかたわら、ビジネス書を執筆しベストセラー作家となったダニエル・ピンクさんの『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』では以下のように述べられています。

このような答えのない時代には「芸術的で感情面に訴える美を生み出し、豊かな時代に暮らす人々を満足させるものを創り出す能力」が必要だ。

『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』より引用

また、独立研究者・パブリックスピーカーである山口周さんの著作『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』でも以下のように同様の趣旨の内容が述べられています。

全地球規模での経済成長」が進展しつつあるいま、世界は巨大な「自己実現欲求の市場」になりつつあります。このような市場で戦うためには、精密なマーケティングスキルを用いて論理的に価値を形成する能力よりも、人の承認欲求や自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が重要になります。

『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか』より引用

企業を作品として捉えてみる

館長

ここで彼らの言っていることをイメージしやすくするために、「WindowsではなくAppleのMacを買う人」がなぜそうするのかを考えてみましょう。

突き詰めて考えると、Macを選ぶ理由はPCのスペックで選択しているのではなく、Macユーザーであることの誇りを選択していると考えられます。

洗練されたデザインとAppleのブランドの組み合わせは、ほかにはないユニークで魅力的な価値だからです。

そして中には、何者にも代えることができないスティーブ・ジョブズとウォズニアックのスタートアップストーリーに惹かれ、それに賛同してMacを選択している人もいます。

つまり、Macユーザーであることが1つの自己表現となっているのです。

館長

Apple以外の企業だと、ドトールではなくスターバックスを選ぶ人の考え方にも同じことが言えそうですね。

私はそちらではなく、こちらを選ぶよ。なぜならそれが私の感性に響くから。このように、人の自己実現欲求を刺激するような感性や美意識を身につけ、企業や個人での活動に反映させられるようになる能力が重要になってくるのです。

それは自ら価値を生み出すことができるということであり、IT・AI時代に求められているものであり、生きやすくなる能力にほかなりません。

ここで登場するのがアート思考

では、どうしたら人の自己実現欲求を刺激するような能力が手に入るのでしょうか?

館長

ここでアート思考の登場です。

アート思考の定義を思い出してみましょう。自分の興味に基づいて探求すること、思考すること、自分なりの答えをつくること」でしたね。

つまり、自分の興味を深く掘り下げて思考し、自分のセンスを理解し、コントロールできるようにすることで、仕事においても人生においても、型にはまらずほかにはないユニークで魅力的な価値を生み出すことができるようになるということです。

そうして生み出されたものやサービスは、絵画や映画のように多くの人を惹きつける可能性を持っています。

それはつまり、数多く存在する競争相手とは異なる価値を生み出すことができるようになり、結果としてIT・AI時代の仕事に役立てられるということです。

館長

ここでアート思考のプロセスで生み出された、もしくは生み出すことができるものの代表例も簡単にですが紹介しておきます。

アート思考によって生み出されたと考えられている企業
・Apple
・Soup Stock Tokyo
・Blue Bottle Coffee

アート思考で生み出せるもの
・ユニークなコンセプトのアプリケーション・ECサイト・ブログ
・音楽・イラストレーション・ハンドメイド作品などの個人活動のブランディング
・自分の強みを反映した、簡単に置き換えられないキャリア 

3L museumのワークショップ

3L museumのワークショップは、アート思考の基本である「探求する力・思考する力」が高められるようにデザインしています。

ニューヨーク近代美術館MoMaで生まれたメソッドを元に開発しており、たくさんの人が興味を持つきっかけとなれるよう、5分で手軽に楽しめるような構成にしています!

アート作品の鑑賞を通じて「型にハマらずに観る力」や「考え方のコツ」、「自分の感情を言語化して理解する能力」を身につけることができます。

詳しくは以下のページで紹介しています!

あわせて読みたい
3L museum『ワークショップ』
3L museum『ワークショップ』3L museumのワークショップでは、アートを楽しみながら新たな発見や気づきを与え、観察力が高まる体験を提供しています。従来のブログ記事は、読んでもらうことを目的に...

まとめ

アート思考の必要性や仕事や人生に役立てる方法を解説しました。いかがだったでしょうか?

今、アート思考の必要性が高まっている理由をまとめると以下のようになります。

・アート思考とは「自分の興味に基づいて探求し、思考し、自分なりの答えをつくること
・令和の時代に必要性が高まった最も大きな理由は「IT化・AIの進出
・現代以降は自己実現的消費が主な流れとなり、「人の感受性に訴えかける感性や美意識」を身につけることが仕事の成功において重要な要素になる(つまり、競争相手とは異なるユニークな価値を生み出すことができるようになる)

必ずしも必要ではないと思っていたけど、アート思考はこれからの時代を生き抜くための重要な考え方だったんですね!

館長

そのとおりです。ちょっと難しめな話になってしまいましたが、皆さんに知ってもらう必要があると感じたため、詳しく解説させていただきました。

この記事を読んで、少しでもアート思考や3L museumのワークショップに興味を持っていただけたら嬉しい限りです。
まずは下の記事の1問だけでもチャレンジしてみてください!

あわせて読みたい
観察力を鍛えるワークショップ Vol.1
観察力を鍛えるワークショップ Vol.1こんにちは!教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長(@3Lmuseum)です。この記事では、「観察力を鍛える」をテーマに、ワークショップを紹...

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

1996年生まれ。大学卒業後、美術館でナビゲーターとして教育普及に従事。教養としての芸術を広め、芸術に対する価値観やイメージをアップデートしたいという想いから、2021年3月に「3L museum」を開設。牛乳キャップやチロルチョコの包み紙など、芸術的価値があると感じるモノの蒐集が趣味。




目次
閉じる