観察力を鍛えるワークショップ Vol.1

こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長@3Lmuseum)です。

この記事では、「観察力を鍛える」をテーマに、ワークショップを紹介していきます!

目次

今回のワークショップについて

このワークショップを体験することで、作品をよく観る力が高められるようになっています。

また、観察力を鍛えることで得られるメリットは次のようなことがあります。

・アイデアを生み出す能力が高まる
・目の前にあるものから情報を汲み取る能力が高まる
・型にハマった見方ではなく、自分だけの見方で作品を楽しめるようになる

簡単にまとめると、「考える」ためには「よく観る」ことが必要なのです。
つまり「よく観る」ことができれば、型にはまらずに自分の意見を持てるようになるということです。

詳しくは下記の記事で解説しているので、ぜひ読んでみてくださいね!

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また、このワークショップでは次のものを必要とします。
ありあわせで大丈夫なので、読み進める前に手元に用意しておいてください!

・文字が書ける紙
・鉛筆・シャープペン・ボールペンのどれか

※今回のワークショップの所要時間は5分です。

作品を見てみよう!

それではアート作品の鑑賞に進みましょう!

今回紹介するのはフランスの有名な画家、ルノワールの作品です。
まずは作品を自由に見てみてください!

シャルパンティエ夫人とその子供たち

この作品は俗に言う「名画」で、公開された当時の批評家から注目を集め、高い評価を受けていた作品です。

可愛らしい女の子や犬と夫人が描かれていて、ほっこりしますよね。

ところで、あなたは作品の中に「おじさん」が描かれていることに気づきましたか?

ほとんどの人は気づかなかったのではないでしょうか。
ヒントを出しておきます。右上に注目してよく観察してみてください。

また、だいたい20秒以内に作品を観て、すぐに鑑賞を終わらせてしまった人が大半だと思います。
実は世界中ほぼ全ての人も同じで、美術館で1つの作品を観るのにかける平均時間は20秒程度だそうです。

そして、作品の鑑賞で気づきが得るためには、もっと多くの時間が必要なのです。
これが冒頭でお話しした、「よく観る」ということです。

もう一度観てみよう!

1回目に観た時、数十秒で軽く流してしまった人も多かったと思います。

そこで、もう少しだけこの作品をよく観てみましょう!
とはいっても、自分がちゃんと作品を観れているのか不安な人も多いのではないでしょうか。

ここで作品をよく見るための方法として「アウトプット鑑賞」をおすすめします!

やり方はとっても簡単です。作品を観て「気がついたこと」や「感じたこと」を紙に書き出したり、声に出したりするだけです。

例えば、こんな感じのラフさで大丈夫です。

「犬がちょっと不機嫌そう」
「女の子たちはかなり幼そう。幼稚園児かな?」
「部屋の色が結構好き」
「この部屋はあんまり好みじゃない」

気づいたことをパッと書き出していく感じです。

それでは次はゲーム感覚で、2分間の制限時間で紙に書き出してみましょう!
下にタイマーを用意しました。ぜひクリックしてから始めてみてください!

シャルパンティエ夫人とその子供たち

アウトプット鑑賞、お疲れ様でした!

きっと慣れない作業で大変だったと思います。1分間もアウトプットできたのはすごいです!

あなたは気づいた?サクッとチェック

ここでちょっと難易度の高いチェックポイントを3つ紹介します!あなたはいくつ気がつきましたか?




どこからそう感じた?

次のアクションは、書き出した感想の中から1つを選んで「どこからそう感じたのか」を考えてみましょう。

例を挙げると、以下の通りです。

・「部屋の色に違和感があった」
どこからそう感じた?
→「フランスにしては部屋に置いてあるものが変だからかな?」
・「柔らかい雰囲気が好き」
どこからそう感じた?
→「絵のタッチもそうだし、描かれている人たちが笑っていて幸せそうだから?」

それでは感想を「どこからそう感じたのか」1分間で深掘りしてみましょう!

この作品はどんな作品?

アウトプットの深掘り、お疲れ様でした!

それではここで、今回使用した作品を簡単に紹介します。
作品のタイトルは『シャルパンティエ夫人とその子供たち』。

ルノワールが1879年、有名な出版事業者であるジョルジュ・シャルパンティエに依頼されて制作した油彩画です。

描かれている場所はパリにあるシャルパンティエ夫人の邸宅の日本風にデザインされた居間で、彼女の洗練されたセンスがみて取れます。

館長
余談ですが、シャルパンティエ夫人の近くに腰掛けている子どもはポールという名前で、実は男の子です。当時の流行は男の子でも髪を短く切らなかったみたいですね!

この作品をあなたはどう思う?

ここまでワークショップお疲れ様でした。

最後に、あなたはこの作品に対してどう思いますか?

作品を自分の目で感じて、よく観て、アーティストの制作背景を知ったあなただけの感想があるはずです。最後は自由に簡単に書き出してみましょう!

ここで、ほかの人の感想も紹介しておきます。

最初は描かれている人が優しそうで、ほのぼのした絵だなあ程度しか思わなかったが、よく見ていくうちに、フランスなのに部屋が日本風にデザインされていることに気づいた。
逆にそれに気づいてからは、なんでこんな大きな違和感に気づかなかったんだろうと思った。
子どもたちが可愛らしいなと思っていたが、よく見ると手前の女の子の方は犬を下敷きにして座っていることに気づいた。
犬が不機嫌そうな顔をしている理由がわかった。それに気づいてからは、ただ優しい雰囲気の絵ではなくて、ちょっとユーモアのある絵だなと思って親近感が湧いた。

他人の意見や感想を聞くことで、自分の意見だけで凝り固まらずに視野を広げることができたり、より柔軟に考えることができたりするようになります。

ぜひ、気になったら目を通してみてくださいね!

まとめ

今回の観察力を鍛えるワークショップ、いかがだったでしょうか。

10分間のワークショップといえども、最後までやり通すのは大変だったと思います。

今回のポイントをおさらいすると、以下の通りです。

・「気がついたこと」や「感じたこと」を紙に書き出したり声に出したりする『アウトプット鑑賞』を意識して作品を観る
・作品を観た感想を「どこからそう感じたのか」深掘りする
・作品の情報を知った上でどう感じたのかを考えてみる

きっとこの経験で、あなたは5分前よりも「観察力」が格段に向上しているはずです。

この調子でほかの気になるアートをたくさん観て、あなただけのアートの見方を見つけていきましょう!

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この記事を書いた人

1996年生まれ。大学卒業後、美術館でナビゲーターとして教育普及に従事。教養としての芸術を広め、芸術に対する価値観やイメージをアップデートしたいという想いから、2021年3月に「3L museum」を開設。牛乳キャップやチロルチョコの包み紙など、芸術的価値があると感じるモノの蒐集が趣味。




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