観察力を鍛えるワークショップ Vol.6

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こんにちは!
教養派アート入門メディア『3L museum』を運営している、白くま館長@3Lmuseum)です。

観察力を鍛えるワークショップへようこそ!

今回のワークショップでは、なにやらいろんなモノに囲まれた作品を紹介していきます。
なぜ、これらが描かれているのかを考えながら観察していきましょう!

所要時間は約5分です!

また、このワークショップでは次のものを必要とします。
ありあわせで大丈夫なので、読み進める前に手元に用意しておいてください!

・文字が書ける紙
・鉛筆・シャープペン・ボールペンなど

目次

作品を見てみよう!

それでは作品の紹介です!

まずは2分間で「アウトプット鑑賞」をしてみましょう!
作品を見て「気づいたこと」や「感じたこと」を自由に書き出してみてください!

所蔵:マウリッツハイス美術館

あなたは気づいた?サクッとチェック

ここでちょっと難易度の高いチェックポイントを紹介します! あなたは気がつきましたか?




どこからそう感じた?

次は自分の感想の中から1つ選んで、「どこからそう思ったのか」を深掘りしてみましょう!

より鮮明に観察することができるようになります。

例えばこんな感じです!

怖い……
→やっぱりドクロに目がいってしまう。なんだか不気味で怖い絵……。これが描かれた時はドクロの模写をしていたのでしょうか?

統一性があるのかわからない
→ドクロのインパクトがやっぱりすごいけれど、ほかの描かれたモノも統一性がなくて何を描いたのか正直イメージしづらいです。何か意味があるのでしょうか?

ぱっと頭に浮かぶことで大丈夫です。それでは気楽に1分間でやってみましょう!

この作品はどんな作品?

深掘りお疲れ様でした。少し頭を使って疲れたと思います。

ここで、このホラーテイスト溢れる作品について紹介します。
これは「ヴァニタス」という作品で、1630年頃にピーテル・クラースによって描かれたものです。

ピーテル・クラースは、レンブラントやフェルメールが活躍したオランダ黄金時代の画家の1人です。

この「ヴァニタス」という作品は、ただのテーブルの上を模写した作品ではありません。

この絵には、鑑賞者への教訓が隠されているのです。
教訓らしいものなんて全然見当たらないと思いますが、描かれているモノが重要なポイントになってきます。

作品をじっくりと見てみて、たくさんのモノが描かれていることに気づいたはずです。
まずは描かれているモノを一つひとつ観察していきましょう。

この作品に描かれている4つのモノ

最初に、存在感を放つドクロこれは死の確実性』を示しています。
人は必ず死ぬ時がやってくるんだという意味合いが込められています。

館長

なんだかちょっと怖くなってきましたね

続いて、手前にある時計これは時の経過』を示しています。

そして、時計のすぐ後ろに描かれているの空のグラスはひっくり返っており、これは突然食事を中断したような『虚ろさ』を表しています。

そして最後に、グラスの奥に描かれているろうそくの燭台
この燭台にはろうそくが刺さっておらず、ろうそくは溶けきってしなっています。

これは、『消えゆくものや儚さ』を示していると言われています。

・ドクロ:死の確実性
・時計:時の経過
・空のグラス:虚ろさ
・ろうそくの燭台:消えゆくものの儚さ

これらのように、モノの意味の多くは、死や時間、儚さを連想させるものでした。

ヴァニタス画の多くの作品は、『メメント・モリ(死を想え)』という言葉が主題です。
簡単にいうと、人生の儚さや虚しさなどを、描かれているモノから読み取る絵画なのです。

館長

この絵画以外にもヴァニタス画と呼ばれる絵画は多数あり、『楽器=人生の簡潔さ』、『熟れた果物=加齢』、『冠=権力の虚しさ』など、一つひとつの描かれたモノに色んな意味が込められています

この作品から得られる教訓

これらのモノからどのような教訓を得られるのか考えてみましょう!

人生の儚さや虚しさから連想できること、それは『人の人生はいつか終わる』ということです。つまり、『人の時間は有限である』という解釈ができますよね!

館長

館長の解釈としては、「人の時間は有限であるので、今を大切に生きようと想ったり、無駄な時間を浪費したりせずに丁寧な暮らしをしようね」とも捉えることができると思っています

このことから、ヴァニタス画は今の生活や生き方を見直そうという教訓を伝えているのではないでしょうか?

一見するとホラーなテイストですが、実際は自分に寄り添って心配してくれているような絵画なのでした。

この作品をあなたはどう思う?

では最後に、この作品を観てあなたは今どう思いますか?
作品をよく観察し、背景を知ったあなただからこそ出てくる感想がきっとあるはずです。

自由に書き出してみましょう!

ここでほかの人の感想も紹介させていただきますね。

「描かれているモノの一つひとつに意味があったなんて! この絵が教えてくれたように、自分も今の生き方や生活と向き合って、日々を大切に過ごしていこうと思いました!」

「ドクロのインパクトが強すぎて、直感で怖いと思ってしまいましたが、見かけで判断してはいけないということに改めて気づかされました。この絵のメッセージ、大切にします」

まとめ

今回はちょっぴり不気味でメッセージ性の強い作品を紹介させていただきました。
ヴァニタスの見どころをまとめると、下記のとおりです。

・描かれたモノがもつ意味
・人生の儚さ(人の時間は有限である)
・今の生活や生き方を見直そうという教訓

この作品から、描かれているモノ一つひとつに意味があることを知れたのではないでしょうか?

描かれているものの意味を考えながら鑑賞していくことで、想像力を養っていきましょう!
以上で、今回のワークショップは終了です!

館長

館長も日々を大切に生きていこうと思います。毎日たくさんインプットするぞ〜!

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この記事を書いた人

1996年生まれ。大学卒業後、美術館でナビゲーターとして教育普及に従事。教養としての芸術を広め、芸術に対する価値観やイメージをアップデートしたいという想いから、2021年3月に「3L museum」を開設。牛乳キャップやチロルチョコの包み紙など、芸術的価値があると感じるモノの蒐集が趣味。




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